研究分担者 |
武井 研二 北里大学, 医学部, 助手 (50236410)
細田 のぞみ 北里大学, 医学部, 助手 (80199504)
砂押 渉 北里大学, 医学部, 講師 (20171283)
白井 宏幸 北里大学, 医学部, 講師 (10154353)
高梨 栄 北里大学, 医学部, 講師(非常勤)
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研究概要 |
1.Zonisamide(ZNS)は腸管からの吸収が遅く,血中半減期が長いため,1日1回の投与でも,日内の血中濃度は比較的一定に保たれる.このZNS単剤1日1回投与法を行い,投与量を増して(11.1±2.5mg/kg),治療濃度域高値を保っても発作の抑制が困難なため,carbamazepine(CBZ)を併用した5〜16歳(平均12歳1か月)の潜因性局在関連性てんかんの患児12例を対象に,両薬物間の血中濃度面での相互作用を検討した.また,このうち9例では,ZNSを漸減中止し,CBZ単剤治療となった後に,CBZならびに主要代謝経路の第一次代謝物carbamazepine-10,11-epoxide(CBZ-E)の血中濃度を測定した.その結果,CBZの併用(15.1±3.0mg/kg)により,ZNS血中濃度は日内の最低濃度,最高濃度ともに,それぞれ35.4±10.0から22.2±9.8μg/ml,43.0±11.3から28.1±12.5μg/mlと有意に低下した.しかし,CBZならびにCBZ-E血中濃度は,ZNS併用時とCBZ単剤治療時で明らかな変化を認めなかった. 2.Lamotrigine(LTG)は,わが国では現在第三相治験の段階にあるが,LTGの血中半減期はCBZなどの肝代謝酵素誘導作用がある薬物との併用により短縮し,valproateとの併用で延長することが知られている.一方,CBZにLTGを併用すると,CBZ-Eの血中濃度が上昇し,中毒症状が発現するとの報告がある.この点に関して,LTG導入時にCBZを服用し,他にはLTGの代謝に影響する薬物を併用していない,12〜22歳(平均18歳3か月)の症候性ならびに潜因性局在関連性てんかんの患者8例を対象に,LTG併用後のCBZならびにCBZ-Eの血中濃度の変化を検討した.LTG併用時のCBZならびにLTGの1日投与量はそれぞれ9.7±2.3mg/kg,7.7±3.8mg/kgである.その結果,LTG併用前のCBZとCBZ-Eの血中濃度は7.91±1.07と1.29±0.30μg/ml,LTG併用後はそれぞれ7.78±1.33と1.45±0.40μg/mlで,LTG併用後CBZ-E血中濃度は有意(p<0.05)に上昇した.
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