研究概要 |
近年、Fast field echo技術および造影剤の開発に伴い、Dynamic Magnetic resonance imaging(ダイナミックMRI)が腎形態学的検討のみならず、腎機能検査にも用いられるようになった。今回、我々はこのダイナミックMRIによって分腎機能を評価しえるかどうかを検討した。[対象]対象は膀胱尿管逆流症および水腎症の腎泌尿器疾患の11例で、7歳から20歳で平均年齢は12歳である。[方法]東芝製MRI 200RX 1.5Tを用いた。まず、spin-echoで冠状縦断面像を撮影したのち、両腎が均等にみとめられる断面像を決定した。Gd-DTPA 0.035mmol/kgを急速静注したのち、fast field echo(flip angle 30゚,repetition time 28msec,echo time 9msec)でダイナミックMRIをおこなった。腎皮質および腎髄質に関心領域(ROI)を描いたのち、その部位でのsignal intensityの時間変化を検討し、腎皮質曲線と腎髄質曲線を作成した。この2つの曲線が交差する時間、すなわちcortico-medullary(C-M)junction timeを測定した。[分腎機能検査]全例で24時間creatinine clearance(Ccr)および21腎でそれぞれのCcrを測定した。分腎でのCcrは逆流防止術時に挿入したスプリントや腎瘻からの分腎尿を直接用いて検討した。[結果]Total Ccrと両腎のC-M junction timeの平均値の間には有意な負の相関が認められた。また左右の分腎のCcrとそれぞれのC-M junction timeとの間でも有意な負の相関あるいは傾向が認められた。[考案]ダイナミックMRIは腎形態のみならず核シンチグラフィ同様、半定量的に分腎での糸球体機能を知りえる有用な検査法であることが示唆された。
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