我々は前年度に、骨での性ホルモンの役割を明らかにするため、日本白色種家兎の培養軟骨細胞を用いて、男性ホルモンを女性ホルモンに転換するアロマターゼ活性ならびに男性ホルモンであるテストステロンを活性型のジヒドロテストステロンに転換する5α-レダクターゼ活性の局在等について検討した。アロマターゼ活性は、静止軟骨細胞より成長軟骨細胞で有意に活性が高く、骨の成長、成熟に女性ホルモンが男性ホルモンより関与していることを推測した。今年度は加齢、性差についても検討した。アロマターゼ活性は雌家兎の成長軟骨細胞では加齢とともに有意に上昇していたが、雄家兎では明きらかでなかった。また、5α-レダクターゼ活性についても同様に検討したが、加齢による変化は認められなかった。以上より、ヒトにおいても女児では男児より骨の成熟が早期に完成されると予測され、骨端線が早期に閉鎖し、小柄になることが推測された。さらに今年度は、下垂体における成長ホルモン合成に性ホルモンがどのように影響するか明らかにするため、ラットをモデルとして、成長ホルモンのmRNAを検出するための有用な標識cDNAprobeを作製し、in situ hybridizationにより加齢、性差について検討した。現在までの検討では、成長ホルモンのmRNAの発現は出生直後より十分に認められ、加齢、性差については明きらかでなかった。今後は成長ホルモンを外来性に投与し、一時的にmRNAの発現を抑制した後、性ホルモンの影響についてさらに検討する予定である。
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