下垂体の成長ホルモン合成に及ぼす性ホルモンの影響について検討した。最初に3週齢、6週齢のWistar-Imamichiラットを用いて下垂体を摘出し、免疫染色および標識cDNAprobeを用いたin situ hybridizationにより、GHの発現を再度検討した。前年度と同様に性差は明らかでなかったが、3週齢に比べて6週齢ではGHの発現は増加していた。そこで、内因性の性ホルモンの影響を除外するため、LH-RH analogを3週齢、5週齢に投与し去勢状態にした後、DHT 50ug、E_2 20ugを1週間連日皮下注し、6週齢に血中GH濃度、下垂体GH含有量、および同様に免疫染色、in situ hybridizationを行い、下垂体組織でのGHの発現を比較検討した。血中GH濃度および下垂体GH含有量は市販のラットGHキットを用いてRIA法で測定した。血中GH濃度はE_2投与により増加したが、DHT投与では変化は認められなかった。下垂体GH含有量は蛋白量で補正も行ったが、E_2およびDHT投与で変化は明きらかでなかった。現在、免疫染色およびin situ hybridizationを行っているところで、下垂体組織におけるGHおよびGHmRNAの発現に関しては後日報告する。なお、コントロール、DHT投与群に比べ、E_2投与群では発育が不良であった。骨組織について検討したが骨端線は閉鎖してないので、E_2による何らかの末梢での作用が示唆された。
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