研究課題/領域番号 |
05670712
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉田 一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (20182751)
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研究分担者 |
森田 潤 久留米大学, 医学部, 講師 (10220063)
荒牧 修一 久留米大学, 医学部, 講師 (30211014)
石松 順嗣 久留米大学, 医学部, 講師 (70102093)
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キーワード | 必要羊水量の縮小化 / 胎児治療 / 胎児有機酸代謝研究 |
研究概要 |
前年度にひき続き全国各地より依頼のあったプロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症の出生前診断を施行した。その結果当該年度までに施行した両疾患の出生前診断の経験症例数は総数で16例に達し、本研究が実際の医療の現場からもニーズの高い研究であることが実証された。さらに16例の出生前診断の的中率は100%であり、我々の確率したプロピオン酸血症、メチルマロン酸血症の出生前診断の方法が手技的にも安定した信頼性の高いものであることがわかった。我々は樹脂手技的に4mlの羊水を用いて関連代謝産物を分析測定していたが、今回2mlの羊水でも4mlの場合と同様の正確な測定が可能であることが確認された。このような必要羊水量の縮小化は、現在15〜18週に施行している出生前診断がさらに早期に施行されうる可能性を示唆しており、人工中絶を余儀なくされる妊婦にとっても母体への侵襲度の点から朗報と考えられる。本法は遺伝子診断と比較した場合異常代謝物を分析する代謝機能面からの診断法であり、遺伝子変異が未知の場合でも診断できるという大きな利点があり、今後の経験の積み重ねにより、さらに信頼性を高める予定である。また胎児治療や胎児の有機酸代謝研究への応用などが今後の検討課題であるが、我々の経験例の中にはビタミンB_<12>反応性メチルマロン酸血症や胎児死亡の例があり、今後研究を進める上で興味深い分析結果が得られたことは特記すべきである。今後、両疾患以外の先天性代謝異常症の出生前診断においても依頼があれば研究を重ねて行く予定である。
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