類天疱瘡抗原(BPA)は自己免疫性水疱症である類天疱瘡患者の血清中に存在する自己抗体が認識する蛋白である。現在まで少なくとも2種類のBPAが同定されている。一つは分子量230kDaで、もう一つは分子量180kDaのcollagenである。本研究は230kDaBPA遺伝子の調節領域をcloningし、その発現調節機構を明らかにするため計画されている。 平成5、6年度にヒト、マウスの230kDaBPAの5prime領域を含むgenomic cloneを単離し、その塩基配列をsanger法にて決定した。 本年はtranslation starting siteより、ヒト230kDaBPAでは上流約2kbを、またマウス230kDaBPAでは約1.2kbをPCRで増幅しchlolamphenicol acetyltranferase (CAT)遺伝子をもつベクターに組み入れ、それを表皮細胞を含む種々の培養細胞に導入した。その結果、それぞれ表皮特異的に、CAT活性を発現し、それらの領域に表皮特異的発現のための調節elementが存在することが明らかになった。さらにそのelementを詳細に同定するため、5′端よりdeletion mutantsを作成し表皮細胞を導入し、CAT活性を測定したところ、表皮特異的発現の調節elementは、ヒトでは-216から-197に、マウスでは-525から-213に存在することが明らかになった。
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