研究課題/領域番号 |
05670723
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
諸橋 正昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
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研究分担者 |
大津山 實 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10213787)
松井 千尋 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (10181679)
籠浦 正順 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50201413)
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キーワード | 疎毛症キメラマウス / 電子顕微鏡 / 角化異常 / 5αレダクターゼ / ミノキシジル / Clチャネル / protein kinase C |
研究概要 |
疎毛症キメラマウスの脱毛機序について超微形態学的あるいは免疫組織化学的に検討した結果、電顕的には、毛小皮の外側に中等度電子密度物質が認められた。毛乳頭および毛母細胞には特に超微形態学的異常およびgrowth fraction markerなどの免疫組織化学的異常は認められなかった。これらのことから疎毛症キメラマウスの脱毛には角化異常が関与すると考えられ、特にSH基とS-S結合の分布の変化が重要な役割を果していると考えられた。そこで生後3週齢の疎毛症マウスの背部にSH-oxidase活性の高い人参抽出液およびサンセイ抽出液を5週間から7週間塗布し、コントロール群と比較して疎毛の状態が抑制されるか否かを検討した。結果として投与5週間後では特に肉眼的差異は認められなかったが、7週間後では上記薬剤塗布群において、疎毛の程度はコントロール群と比較して抑制されていた。またマクロスコープを使用した単位面積あたりの毛髪数の検討においても、上記薬剤塗布群がコントロール群を上回っていた。これらのことから、人参およびサンセイ抽出液は疎毛の改善にある程度有効であることが示唆され、またSH基とS-S結合のアンバランスが関与する何らかの角化異常により疎毛症が招来されると推測された。皮膚附属器における酵素蛋白の局在については、大腸菌を用いて、5αレダクターゼ抗体を作成し、現在毛包組織の免疫組織化学的検討を行っている。育毛剤としてのminoxidilならびにその誘導体の作用機序については、従来考えられていたKチャネルの開放にくわえ、細胞容積解析法による結果、Clチャネルも開放することが証明され、細胞内PKCとの関連を検討中である。疎毛症キメラマウスは、人における先天性乏毛症の脱毛機序あるいは治療に関連するモデル動物となりうる可能性もあり、今後インボルクリンやフィラグリンなどの分布の検討ならびにビタミンA酸塗布による脱毛の抑制の有無などについて更に研究を進める予定である。
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