ランゲルハンス細胞は皮膚に常在し、強力な抗原提供細胞として機能する皮膚樹状細胞である。皮膚の炎症の場におけるランゲルハンス細胞とT細胞などの免疫担当細胞の役割を明らかにするために、マウス接触性皮膚炎をモデルとして研究を行っている。C3Hマウスを7%TNCBにて感作し、7日後に1%TNCBを耳介に外用し、その腫張を計測することで接触性皮膚炎が誘導されたかどうかを判定した。この際塩酸アゼラスチン(AZE)およびFK-506を外用し、その抑制効果を調べた。両剤はともに1回単擦するのみで耳介の腫張を80〜90%抑制した。T細胞の活性化に及ぼす両剤の影響を明らかにするために、マウス脾臓より得たT細胞を、レクチンあるいはPhorbol myristate acetateとionomycinにて刺激し、各種濃度のAZEおよびFK-506がT細胞の[^3H]-TdRの取り込み、IL-2産生能に与える抑制効果を検討した。その結果、AZE、FK-506ともにT細胞の[^3H]-TdRの取り込みには強い抑制作用を示すこと、FK-506はIL-2産生能を強力に抑制すること、AZEのIL-2産生能に対する抑制効果はあっても小さいことがわかった。一方、T細胞のIL-2応答性に対するFK-506抑制効果は極めて弱いのであるが、AZEは強い抑制効果を示した。またFACS解析により、AZEはIL-2receptorαの発現には影響を与えないことから、AZEのT細胞活性化抑制作用はIL-2/IL-2receptorのinteractionあるいはsignaling pathwayでの抑制ではないと考えられた。以上の結果は、現在投稿中である。最近ではこれらの薬剤のランゲルハンス細胞の表面マーカーに対する影響を観察している。また費用の一部を用いて裏面に記載した論文の研究費の一部とした。
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