研究概要 |
本研究は、皮膚悪性黒色腫の遺伝子治療法を確立するための基礎研究である。本症を発症した日本人患者集団を用いて、HLA分子に重点を置き細胞レベルで個体差の要因の一つとして、腫瘍免疫監視機構における細胞間免疫反応の多様性を解析し、以下のような成果を収めた。 1)HLA-B13は皮膚悪性黒色腫と強い相関を示した(相対危険度=13.0,P<0.005)。 病型別にHLAとの相関を検討したところ、 2)HLA-B13は結節型悪性黒色腫と最も強い相関を示した(相対危険度=17.3,P<0.003)が、日本人に多くみられる末端黒子型黒色腫とは有意な相関を示さなかった。 3)表在拡大型ならびに悪性黒子型黒色腫については、症例数が少なかったためHLAとの相関を明らかにすることができなかった。 以上の細胞レベルでの解析から、皮膚悪性黒色腫は遺伝的背景を有する疾患であるが、単一の遺伝子ではなく、個体差(黒色腫細胞と環境)により変異する可能性が示唆された。
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