研究課題/領域番号 |
05670733
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
武藤 正彦 山口大学, 医学部, 助教授 (40175625)
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研究分担者 |
最上 聡 山口大学, 医学部, 助手 (30253149)
濱本 嘉昭 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (90238080)
麻上 千鳥 山口大学, 医学部, 教授 (80035188)
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キーワード | 皮膚悪性黒色腫 / 疾患感受性 / HLA多型 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
皮膚悪性黒色腫の疾患感受性形成に関する遺伝要因の血清学的レベルの解析を進め、以下のような成果を納めた。 1)前年度の研究でHLA-13Bが本症と相関(相対危険度11.3)することを明らかにしたが、さらに症例を重ね検討した結果、HLA-Cw6が本症と相関(相対危険度11.2)をすることが判明した。この相関のメカニズムとして、(1)日本人集団において、HLA-Cw6はB13と連鎖不平衡にあるため、Cw6との相関は二次的なものに過ぎない。(2)HLA-Cw6自身が腫瘍関連抗原(MAGE-1)のレセプター分子として機能する。以上の2つの可能性が挙げられる。最近の研究からHLA-Cw*1601はMAGE-1蛋白を結合し、キラーT細胞に認識されることが明かとなった。MAGE-1結合分子としてHLA-A1が知られているが、実際A1の抗原頻度は黒色腫患者58名中1名即ら1.7%と低く、実用的でない。HLA-Cw6はCw*1601と同じクラスターに属しており、キラーT細胞の標的分子となる可能性が大きい。今後、HLA-Cw6陽性黒色腫細胞ではHLA-Cw6分子とMAGE-1蛋白が結合しているか否かを急いで検討する必要がある。もし、HLA-Cw6がMAGE-1蛋白を結合しうることになれば、およそ3%の悪性黒色腫患者が癌特異免疫療法の対象となりうる。 本研究の成果は、わが国における悪性黒色腫遺伝子治療法ならびに予防法の開発への道を拓くものと期待される。
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