免疫反応には抗原が生体に侵入すると早期に反応するもの(I型)と、ある一定の時間経過後に反応するもの(IV型)がある。アトピー性皮膚炎ではIgE上昇などのI型反応と、湿疹病変のみられるIV型の反応が共存している。すなわちアトピー性皮膚炎ではI型とIV型の反応が同時に起こっていると考えられる。I型反応がIV型反応と同時に起こりうるか、また起こっているとしたらいかなる機序によるのかを解明するのが、この研究の目的である。この目的のため、まずマウスにおけるIV型反応であるDNFB、NiSO_4を抗原に用いた遅延型過敏反応を惹起した。この反応にI型反応が関与しているかを検討した。 マウスを用いて、DNFB、NiSO_4を抗原とした遅延型過敏反応の系を確立した。まずDNFB抗原を抜毛したマウス腹部に塗布し(0日目、1日目の2回)、5日目に耳介にチャレンジした。チャレンジ2時間後、24時間後に耳翼腫脹を計測した。すると2および24時間後の両者において高値を示した。またこれらの反応に関与する細胞を抗体処理とトランスファーの系で検討したところ、反応早期(2時間後)にはCD3^〓4^〓5^+8^〓23^+、B220^+のThy-1^+細胞、24時間後にはCD3^+4^+5^+8^〓23^〓、B220^〓のThy-1^〓細胞が関与していた。早期に出現する細胞は24時間後の反応に必須で、かつ肥満細胞の存在が必要であった。これは肥満細胞のないマウスでは2時間後、24時間後の反応が観察されなかったことから判明した。同様の結果はNiSO_4を抗原として用いても観察された。 これらの結果はIV型反応(24時間後の反応)には、肥満細胞の存在下で出現するI型反応(早期反応)の存在が必要であることを示している。
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