研究概要 |
乾癬病変部における好中球の表皮内浸潤は,乾癬およびその類縁疾患に特徴的な現場であり,好中球の表皮への遊走を促す様々な因子解析が行われてきた。近年,リンパ球,マクロファージなどの炎症細胞だけでなく,表皮細胞,線維皮細胞,血管内皮細胞などの皮膚を構成している細胞も各種サイトカインを産生し、免疫反応に関与することが明らかになり、これらのサイトカインを含めたケミカル、メティエーターの解析も広範に行われるようになってきた。 IL-8は,乾癬の病変形成の初期に,好中球の表皮内への遊走に先行してみられる〓性化されたTリンパ球の表皮内浸潤を促し,乾癬病変に特徴的である好中球の表皮内浸潤に中心的役割を演じている。炎症の進行に伴い、病変部表皮内に浸透してきた血清中の補体成分との接触により、補体系の主として第二経路が活性化され、強力な白血球遊走活性のあるC5aアナフィラトキシンを生じる。これらペプチド性白血球遊走因子以外に,アラキドン酸由来のLTB_4も病変部で産生され、乾癬病変部における炎症が増幅される。さらに、乾癬病変部では,単球遊走因子MCP-1も産生され,マクロファジーの浸潤を促している。 乾癬皮疹の局面内では、病変は一様ではなく,中央部は炎症が弱く,辺縁に行くに従い,反応が激しくなる。Tリンパ球,好中球の遊走もそれに伴いがある。病変の拡大につれ,局所での炎症反応の推移があることをうかがわせる。
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