紫外線皮膚傷害には、アラキドン酸から代謝される起炎物質の関与が大きい。Eicosa‐Pentaenoic acid(EPA)は、これら化学伝達物質の代謝を抑制して抗炎症作用を発揮することが知られている。そこで、急性紫外線皮膚傷害と紫外線発癌に対するEPA投与の影響を動物実験により検討した。 1.Hartley系モルモットにEPA(500mg/kgあるいは100mg/kg)を2週間経口投与した後、UVBを150から325mJ/cm^2まで25mJ/cm^2間隔で照射した。照射24時間後の紅斑反応を肉眼的に観察したが、EPA投与群、オリーブ油投与群、無処置群の間に差は認められなかった。 2.C3Hマウスに500mg/kgのEPAを4週間経口投与し、UVBを500あるいは1000mJ/cm^2照射した。24時間後の耳介の浮腫を測定した。EPA投与群では、非投与群と比較して有意に浮腫の抑制がみられた。 3.ヘアレスマウスに100mgあるいは500mg/kgのEPAを週6回連続経口投与し、3週後より週3回のUVB照射を開始した。EPA投与、UVB照射ともに以後8カ月間継続した。UVB1回照射量は、150mJ/cm^2から開始し、12回照射ごとに50mJ/cm^2づつ300mJ/cm^2まで増量した。総照射量は10800mJ/cm^2であった。毎週1回、腫瘍の発生を観察し、数と大きさを測定した。腫瘍の初発時期は、EPA投与群、オリーブ油投与群、無投与群で差はなかった。腫瘍総数は、照射20週後ごろより、EPA投与群の方に多くみられた。 結論:EPAは、紫外線紅斑反応には抑制作用が認められず、浮腫反応を抑制した。実験条件下では、EPA投与群により多くの紫外線癌の発生をみた。
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