研究概要 |
短寿命陽電子放出核種を標識した^<11>C-Methionine(^<11>C-M.膵実質への摂取率が高い)および、あるいは2-deoxy-2-[^<18>F]fluoro-D-glucose(^<18>FDG.腫瘍の要求性が高いglucoseの非生理的analog)をヒトに投与し,ポジトロンCT(PET)により,膵癌を中心とする各種膵疾患等の生化学的代謝相を画像化した。それらの画像解析により,これら疾患の診断および鑑別診断に対する本画像研究の臨床的有用性を検討した。 1.本研究の有用性の確立は,偏に該当症例の集積,解析に依存する。現在,診断高度困難例に遭遇していない。しかし、本研究の目的に副次的に沿う症例として,異様に長延命の膵癌例,膵嚢胞例,また嚢胞形成性卵巣癌および嚢胞形成性平滑筋肉腫例等に対して,本dual positron emitter-PET検査を行った。これら症例の画像解析結果は膵癌および膵嚢胞癌診断法としての本法の有用性を支持するものであった。2.含硫アミノ酸メチオニンを特異的に欠如させたアミノ酸製剤(大塚製薬.)をラットに経中心静脈投与,管理し,次いで^<11>C-Mを投与し膵および他臓器へのその分布を検索した。メチオニン欠乏状態で,^<11>C-M tracerの膵集積変化をみることにより,ヒトの膵^<11>C-M-PET像の解析研究を目的とした。研究途次であるが,我々の実験系では上記アミノ酸製剤は^<11>C-Mの膵集積性に影響を及ぼさなかった。しかし,この成績は^<11>C-M-PET膵イメージのアミノ酸代謝研究の最初の一つであろう。
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