研究課題/領域番号 |
05670760
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助教授 (60143038)
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研究分担者 |
多田 雅夫 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (10006083)
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (80134063)
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キーワード | PET / オンカラム標識法 / 自動合成 / ポジトロン放出核種 / 放射性薬剤 |
研究概要 |
我々は昨年度、珪藻土の一種であるExtrelutを用いるカラム抽出法が^<11>C-標識合成法のオンカラム標識法へ利用可能であることを示した。今年度は、本方法で合成される^<11>C-標識脂肪酸と^<11>C-標識アミノ酸に関し、PET診断薬として実際に利用可能な合成条件を最適化し、自動合成装置を開発する上での重要で詳細な知見を得た。 1.^<11>C-標識脂肪酸の合成。[^<11>C]酢酸の合成に関しては、反応条件を詳しく検討した結果、90%以上の放射化学的収率で安定に合成できる条件を求めることに成功した。また最終注射液へのオンカラム的Mgイオン混入防止法を新たに採用した。一方、[^<11>C]パルミチン酸に関しては、50%収率で合成可能となった。これらの2種類の^<11>C-標識脂肪酸は、それぞれに適した試薬を選択するだけで、同一の装置で同一のオンカラム操作により合成可能となった。また、反応カラムを洗浄することで繰り返して使用できることを示し、本オンカラム^<11>C-標識脂肪酸合成法がPET診断のルーチンに適する簡便な方法であることを明確に示した。 2.^<11>C-標識アミノ酸の合成。「^<11>C]HCNを出発物質として全操作をオンカラム的に行い、癌のイメージング剤として有用とされている[^<11>]ACPCを合成することに成功した。「^<11>C]HCNと反応基質との反応、反応生成物の反応液からの抽出、抽出物の加水分解液への逆抽出の操作は、前年度での研究で可能なことが明らかになったが、本年度では、より詳細な条件検討による標識反応の最適化とオンカラム的な加水分解法、およびこれに基づく反応生成物の精製法の開発を行った。注射薬剤として使用可能な[^<11>C]ACPCは、本オンカラム標識法により合成時間40分以内に放射化学的収率60%以上で得られた。従来法と比較して、大幅な操作の簡便化が達成され装置の自動化が可能であることを示した。 2年度にわたった本研究本では、^<11>C-標識に関して初期の目的を上回る成果をあげることができ、本オンカラム標識法のPET薬剤合成における有用性と実用性を示すことができた。今後は、PET診断用のもう一方の重要な標識薬剤である^<18>F-標識薬剤のオンカラム標識法の開発が重要となっていくと期待される。
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