研究課題/領域番号 |
05670761
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 義久 筑波大学, 物理工学系, 講師 (00134205)
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研究分担者 |
入江 吉郎 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助教授 (00124173)
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キーワード | 回転ガントリー / 陽子線 / がん治療 / 2重リング散乱体 / 照射野形成 / ビーム光学的拡大法 / スキャニング / ブラッグ曲線 |
研究概要 |
陽子線によるがん治療はめざましい成果を挙げ近年欧米でがん治療の専用施設の建設が進んでいる。そこでは陽子線の線量分布の良さを最大限に生かすために回転ガントリーが導入され或いは検討されている。本研究は我が国における来たるべきがん治療専用の陽子線照射施設に設置すべき陽子線回転ガントリーについて検討したものである。ここでは今までの研究成果を検討し、深部臓器がんが主な対象になる我が国におけるがん治療施設に組み込むのに適した回転ガントリーを設計し提案した。回転ガントリーに組み込む照射野形成法として2重リング第2散乱体を用いた2重散乱体法により短い距離で従来の方法より効率良く平坦な照射野を得る手法を見い出し理論的にも実験的にもその有用性を実証した。この方式によりガントリーの大きさを小さくするとともに時間的に安定な照射野を得ることができる。米国ではコークスクリュー型のアイソセントリックガントリーを採用しているがここでは現場での患者の位置決めが可能で治療方向の柔軟性を確保し将来のConformal Radiotherapyに発展ができるように治療台周辺のスペースを大きくとれる標準型のアイソセントリック回転ガントリーを設計した。また新しい照射野形成法として8重極、12重極磁場を使ったビーム光学的照射野形成法についても検討した。この方法は散乱体を使わないため照射野の側方の切れが良くビームの利用効率も高い。この手法を回転ガントリーに組み込む際の問題点を検討し6重極磁場補正が必要なことを示し、1次元方向はビーム光学的に平坦化し他方向は高速スキャニングで照射野を得る方法を提案した。さらに将来的には究極の照射野形成法とも言えるスキャニング法による3次元照射野形成法の技術的問題点についても検討を加えた。
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