Over-run型多分割原体照射コリメータ、すなわちビーム中心軸を越えて照射野を形成できる多分割絞りを用いることにより、従来の原体照射法では実現できなかった凸形のターゲット輪郭に一致した高線量域の形成が可能になり、原体照射法はより複雑な形状の腫瘍の放射線治療に適用できる。 今年度は、最適化放射線治療計画に従って放射線治療装置をコンピュータ制御するために、放射線治療計画コンピュータと放射線治療装置をOn-lineで接続する必要があり、そのためのハードウェアとソフトウェアの開発を行った。 Over-run型多分割絞りを装備した直線加速器放射線治療装置Clinac 2100 C (Varian社)と、放射線治療計画コンピュータ装置RT-Marker(GE横河社)、Modulex(CMS社)をOn-lineで接続した。RT-markerでは、CT装置よりOn-lineで転送されたマルチスライスのCT画像上でスライスごとに病巣域の輪郭を入力すると、Clinacの1cm厚、26対の多分割絞りに対応したBeam's Eye Viewの照射野をつくる。360゚方向からのBeam's Eye View照射野から、360゚方向からの各絞りの開度を求め、この絞りの開度データをModulexへ転送できるようにした。Modulexでは原体照射法の線量分布計算を行う。線量分布の適応性を確認の後、多分割絞りの開度データをClinacへ転送して、この開度データに基づいて多分割絞り原体照射を実行できるようにした。
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