多分割絞り原体照射法の最適化を行うと、10門ほどの固定多門照射になる。理論的に検討の結果、最適化法が線形計画法でも二次計画法でも10門ほどの固定多門照射になることがわかった。これは二次計画法も線形計画法に帰結することができる故である。従来の多分割絞り原体照射法は回転照射法である。最適化原体照射法の固定多門照射法を実施するには、あらかじめプリセットしたガントリ-角度まで回転し、その角度における荷重線量を照射するという動作を10門ほど繰り返す必要がある。そこで、このプリセットしたガントリ-角度と荷重線量の照射を繰り返す動作をパーソナルコンピュータを用いて多分割絞りX線照射装置をコンピュータ制御する装置を開発した。 最近の多分割絞りX線照射装置では、1組の絞りがビームのアイソセンターを10cm以上超えることが可能になっている。このような多分割絞りを用いると、アイソセンターに絞りを設定することにより従来の打ち抜き照射法を実現することができる。1回の照射により1ヶ所の打ち抜きが可能である。2ヶ所以上の打ち抜きは2ヶ所以上の照射により実現が可能であることがわかった。しかし、多分割絞りを同時に最適化してしまうと、各々の絞りが干渉してしまうために利益は少ないことが明らかにされた。そこで、多分割絞りを1組ずつ独立に最適化すれば、あらゆる形状の3次元のターゲット体積を実現することが可能になることがわかった。これは鏡とTV装置を用いることにより、各々の絞りの荷重線量を定量することができる。各々の絞りの荷重線量を現有のコンピュータ治療計画装置(Modulex)を用いて自動的に計算するソフトウェアを開発した。
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