研究概要 |
1.造影剤の血管外腔拡散と組織内構造の対比 VX2腫瘍を移植した家兎大腿部のダイナミックCT画像上で,腫瘍部,非腫瘍部と考えられる部位に関心領域を設定し,得られた時間-濃度曲線で,平成6年度に考案した方法により時間-拡散曲線(iopamidolによる曲線からヨード化澱粉での曲線を差し引いた曲線)を求めた.組織標本として,スキャンスライス面と同一割面上で,関心領域部に一致する部位にヘマトキシリン-エオジン染色を施した. 組織学的に腫瘍部であった10部位の100倍率組織標本写真像上で脈管と腫瘍細胞それぞれの総面積比(%)を求め,これと対応する部位の時間-拡散曲線下面積を比較検討した. 2.拡散画像の診断的意義に関する評価(iopamidol,ヨード化澱粉による曲線を含めて) 腫瘍部と非腫瘍部(筋組織)の識別に関しては,ヨード化澱粉による曲線が最も良く表現した.また,腫瘍部壊死巣に関しても,従来の造影剤と比べヨード化澱粉がより良く表現した.一方,腫瘍部における血管増生の程度は時間-拡散曲線の上昇勾配と良く一致し,特に乏血管性腫瘍部分の診断には拡散画像は有用であった. 3.まとめ 高分子型造影剤と従来の低分子型造影剤を併用することにより,従来のCT診断と比べより優れた組織特性診断が可能となることが確認された.今回用いた高分子型造影剤は平均分子量60.000であったが,組織内血管床を表現するには大き過ぎることが示唆され,更に低分子の造影剤を用いた検討がより優れた組織特性診断をもたらすものと思われる.
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