1)昨年度に行った市販メタリクステントに関する物理実験ならびに臨床成績の分析結果から導かれた新しいステントの試作を行ない、この新しいステントの有用性を検討すると共に家兎を用いた動物実験を行った。 2)新しいステントの形状:このステントは金属プレートをバルーンカテーテルに巻回した状態で挿入留置される構造となっている。このステントを構成する金属プレートの形状は巻回し先端部と巻回し終端部の両端縁が互いに円周方向にほぼ同一幅で重なる同一形状の鋸刃状になっている。 3)新しいステントの特徴:この形状により、バルーン拡張はスムースとなり、且つその時の断端形状はほぼ真円となる。更に、この断端の接触面積は大きく、圧縮変形され難い性質を示す。更に、ステントの表面は土管状からメッシュ状までその表面積は自由に調節可能である。具体的にはステントを構成するプレート表面に種々の形状や数の小孔を打ち抜くことによりステント表面積の大きさが可変となる。 4)基礎動物実験:このステントを家兎の正常気管内に挿入留置した。この結果、気管の拡張状態は良好であり、ステントの逸脱やステントに起因する異物排泄作用の障害などの副作用は認めなかった。本ステントの有用性が短期的には示唆された。 5)但し、長期的な本ステントの有用性を確認するためには更なる実験の継続が必要と考えられた。
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