1)エックスパンダブル メタリックステントの臨床的有用性は気管・気管支閉塞ならびに動脈・静脈の閉塞性病変で確認された。 2)メタリックステントの問題点はステントを構成するワイヤー間隙から増殖する悪性腫瘍の制御が問題となる。このため、ステントの表面積を自由に調整し得る新たなステント開発の必要性が開発の指標として、明らかにしえた。また、組織反応はステントの持続的な拡張力が関与するためセルフエキスパンダブル タイプより自らは拡張力を示さないバルーンエキスパンダブル タイプが良好であると考えられた。 3)血管内膜反応を利用した各種のステント材料の生体適合性に関する動物実験結果では金、ステンレススチール(SUS3Ф4)、テフロン、シリコン。銀の順に組織反応が少なく、このため、ステントの材料としては金が最も優れているが、ステンレススチールも許容範囲であり臨床的には使用可能と考えられた。 4)新しいコンセプトに基づいたバル-エキスパンダブル メタリックステントの考案、試作を作った。このステントは金属プレートをバルーンカテーテルに巻回した状態で挿入留置される構造である。この金属プレートの形状は巻回し先端部と巻回し終端部の両端縁が互いに円周方向にほぼ同一幅で重なる同一形状の鋸刃状になっている。このため、バルーン拡張はスムースで、且つ、その時の断端形状はほぼ真円となる。ステントの表面積は自由に調整可能であり、具体的にはその表面に種々の形状や数の小孔を打ち抜くことにより可変となることである。これらのコンセプトに基づいたステントを試作し、ステントの物理的性質を調べるため拡張実験を行った後、これを家兎の正常気管内に挿入留置した。基礎動物実験結果では、ステントの逸脱やステントに起因する異物排泄作用の障害などの副作用は経験せず、本ステントの有用性が短期的には示唆された。但し、長期的な本ステントの有用性を確認するためには更なる実験の継続が必要と考えられた。
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