研究課題/領域番号 |
05670781
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑原 康雄 九州大学, 医学部, 講師 (30150436)
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研究分担者 |
田北 昌史 九州大学, 医学部, 助手 (00236390)
福村 利光 九州大学, 医学部, 助手 (90199266)
一矢 有一 九州大学, 医学部, 講師 (00117425)
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キーワード | 脳アセチルコリン受容体 / ポジトロンCT / 痴呆 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、平成6年度も脳内ムスカリン性アセチルコリン受容体測定用リガンドである^<11>C-メチルピペリジルベンジレイトの合成システムは順調に稼働し、高比放射能の薬剤が充分かつ安定して得られた。検査には10ないし20mCiの^<11>C-メチルピペリジルベンジレイトを投与し、0分から90分後まで連続的に頭部の放射能濃度をポジトロンCTを用い測定した。データ解析はアセチルコリン受容体がほとんど存在しないと考えられる小脳を基準とし、これに対する大脳の各領域の集積比で評価した。昨年度10名の健常ボランティアで本法の再現性を検討したが良好であり、今年度は高齢者と痴呆患者を対象に本法を用い脳内アセチルコリン受容体の研究を進めた。この結果、加齢とともに大脳半球で広範に脳内アセチルコリン受容体が減少すること確認されたが、同時に女性に比べ男性の方が加齢による低下が早いことも明らかとなった。この脳内アセチルコリン受容体の性差については今後の検討が必要と考えられた。臨床検査では20例の痴呆患者を対象に検査を行った。脳内アセチルコリン受容体には加齢変化と性差がみられるため、年齢と男女比を揃えた健常群とアルツハイマー型痴呆患者を比較したが、アルツハイマー型痴呆では大脳皮質全般、特に側頭葉から頭頂葉にかけアセチルコリン受容体の低下が明らかとなり、痴呆との関係が示唆された。同時に行った糖代謝の測定でもほぼ同じ部位で低下がみられたが、糖代謝に比べるとアセチルコリン受容体の方がやや保たれる傾向にあり、この原因については現在検討中である。また、アルツハイマー型以外の痴呆においても少数ではあるが検査を開始したが、一部の症例で脳内アセチルコリン受容体の低下を認めており、さらに症例を重ね検討する予定である。以上、今年度の研究目標は充分達成されたと考えられる。
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