腫瘍に関連したモノクローナル抗体をラジオアイソトープ(RI)にて標識して投与し、腫瘍の局在を知り、治療を目的としたイムノターゲティングは活発に研究されているが、臨床への完全な実施に際し、RIの非特異的な集積と腫瘍部位への集積量の低さが問題になっている。本研究ではRIだけでなく、薬剤をも抗体に複合(コンジュゲート)させ、この2つを同時に腫瘍にターゲティングさせることで、薬剤の働きを借りてRIを効率良く腫瘍に集積させる方法を確立することを目的としている。 【.encircled1.】IFNを封入したミニペレットを皮下に埋め込むことで血中に徐々にIFNを放出し、血中IFN濃度を一定に保つことが出来た。従来のようにIFNを連日投与する必要がなく、ミニペレットを皮下に埋め込んだ後に、I-125、In-111、Tc-99mにて標識した抗体を投与した結果、いずれの標識抗体も腫瘍にコントロール群の2倍以上の集積を示した。他の正常組織へのRIの分布についてもIFNの影響はほとんど認められず、IFNの効果は腫瘍に特異的であると思われた。 【.encircled2.】IL-2の投与方法によってその後の標識抗体の生体内分布に有意な相違を認めた。特に、静注投与はこれに続く毒性が非常に高く、標識抗体の生体分布を正確に評価することが出来ないため、IL-2の投与形態を慎重に検討する必要性を認めた。又、これまでに報告されている方法を改良して抗体の免疫活性を失わずしてIL-2をconjugateする事が出来た。IL-2の薬理作用については検討中である。IL-2をconjugateした抗体をマウスに投与した初期の実験では腫瘍組織の血管透過性はコントロール群よりも増加はしたが、IL-2単独投与の場合よりもその効果は小さかった。 【.encircled3.】脱ヨード化を抑えるクロロキンについては、抗体の種類(抗体と結合した後に細胞表面に留まる抗体と細胞内部に入り込む抗体)によって脱ヨード化の程度が異なるとの結果を得た。
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