研究概要 |
平成5年7月に、対象とした411人を選出し、Cornell Medical Index(CMI)健康調査票とYG性格調査票を各人に発送した。遷居し、連絡不能の50通と記入拒否の22通を除き、239通を回収し、回収率は72%(239/334)であった。一期目に遅延性症状がなかった男性グループの平均年齢はやや高く、二期目に症状があった女性グループの平均年齢はやや低く結果以外、統計分析に支障となる因子はなかった。 一期目を二期目と比較すると、性別、年齢、学歴と結婚状況(既婚、未婚、死別)など因子は遅延性症状の発生頻度に対する影響は統計的な見られなかった。 各グループのYG性格型の分布は各調査時期(一期目と二期目)、性別と症状の有無など因子において、A,B,CとD型の分布には差がなかった。統計的に有意差がみられなかったが、二期目に遅延性症状があった男、女のグループに、E型の人数は多いことがみられた。CMIの回答は調査対象の全員から得られた。身体的自覚症を表すCIJスコアと精神自覚症を表す統計スコアは分散分析において、有意差がなかった。この両者を総合的に判断する領域のスコア分布は各調査時期において、遅延性症状のあったグループはなかったグループに比べ、IIIとIV領域に属した人数が多かった。 結論:YG性格調査票とCMI健康調査票のデータから、不安や、葛籐傾向をしめすE型の人と、身体や精神的自覚症状の多い人は遅延性症状の訴えを起こしやすい傾向が見られる。性別、年齢、学歴と結婚状況(既婚、未婚、死別)など因子は遅延性症状の発生頻度に対する影響は見られなかったが、調査された集団がまた小さいのが原因と考えられる。このため、影響因子の強さを数式化する事ができなかった。しかし、今回の調査結果から、造影剤使用後に発生した遅延性症状はかならず造影剤による遅発性副作用のみで説明しえるとは限らず、精神的、環境的因子も考慮しなければならない。
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