1.血栓閉鎖型大動脈解離36例に対し、画像診断による検討を行ったところ、31例という高頻度にulcer like projectionの存在が確認された。これにより、血栓閉鎖型大動脈解離の大部分が「内膜破綻型」解離である可能性が示唆された。 2.従来の報告では、ulcer like projectionはそのほとんどが胸部大動脈のみに存在したが、詳細に検討することにより、31例97病変中、腹大動脈に24病変・骨盤部動脈に2病変が観察された。 3.Ulcer like projectionのうち、14例14病変は偽腔開存型大動脈解離におけるentryに相当する位置に存在し、また12例28病変は気管支動脈・腰動脈など、分岐起始部に存在することが観察された。これらの診断に際しては、回転デジタル血管撮影法が極めて有用であった。本法により、立体的な画像情報を得ることができたためである。従って、ulcer like projectionの成因として、entryあるいは動脈分岐起始部が関与している可能性が示唆された。 血栓閉鎖型大動脈解離の経過中、15例22病変に瘤形成、6例12病変に再解離が観察された。これらの経過観察には、X線CT及びMRIが有用であった。また、これらの変化は、ulcer like projectionに起因することが明らかになった。
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