研究概要 |
放射線抵抗性の1つに腫瘍組織中の低酸素細胞の分画(Hypoxia)の存在がある。最近、「Chronic Hypoxia」以外にD、j Champlinらは腫瘍組織中に局所微小循環の一時的な血流停止、血管の閉塞による、新しい概念である一時的血流途絶で起こる「Acute Hypoxia」が実験腫瘍において存在することを報告している。この「Acute Hypoxia」は放射線生物学的に非常に興味がある。そこで本研究はこの「Acute Hypoxia」の存在を移植腫瘍を用いて証明することである。 方法:【.encircled1.】マウスと実験腫瘍:C3H/Heマウスに移植可能な実験腫瘍(SCC-VII,FM3A)を用いる。 【.encircled2.】腫瘍の成長に伴ってこの「Acute Hypoxia」の割合について測定した。 【.encircled3.】「Acute Hypoxia」の評価:蛍光色素(Hoechst33342:以下Ho42)はヘキスト、ジャパン(株)より購入、20分後に別の蛍光色素はシアニン系のDiOc(7)でDMSOにで溶解し、同様に尾静脈より注入する。5分後屠殺し、腫瘍を摘出する。Ho42及びシアニン色素で染色された部位を調べ不適合部位(Mismatch Region)を定量的な割合(%)で評価し、これを「Acute Hypoxia」とした。 結果:腫瘍の成長に伴う「Acute Hypoxia」の変化:腫瘍の大きさで%Mismatchの増減は腫瘍径が4mm以下の時は存在しないが、6mm径ではSCC‐7では10%、FM3Aでは20%、1cm径に達するとSCC‐7は40%、FM3Aでは60%になり、腫瘍径、腫瘍型の違いによって%Mismatch、即ち「Acute Hypoxia」が異なった。これは腫瘍血管の発達の差異によることが示唆された。
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