研究課題/領域番号 |
05670796
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大森 哲郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00221135)
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研究分担者 |
井上 猛 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70250438)
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キーワード | N-methyl-D-aspartate / Glutamate / Dopamine / Phencyclidine / Methamphetamine / Schizophrenia |
研究概要 |
視察法および赤外線センサー運動量測定装置を用いて覚醒剤による移所運動や常同行動を観察し、覚醒剤反復投与による行動過敏性(逆耐性)形成のさいの、グルタミン酸の関与を行動学的に検討した。また覚醒剤大量投与時にみられるドーパミン(DA)やセロトニン神経変性のメカニズムを、DAとグルタミン酸の放出動態を指標に、脳内透析実験を用いて研究した。その結果つぎの所見を得た。 覚醒剤とNMDA受容体競合的拮抗薬(D-CPP-ene)の併用反復投与は、覚醒剤とNMDA受容体非競合的拮抗薬(MK-801)の併用反復投与の場合と同様に、行動過敏性形成を阻止することを明らかにした。このことから行動過敏性形成におけるNMDA受容体の関与が一層明確になったと言うことができる。 覚醒剤を大量投与すると、DA放出は線条体と側坐核の両部位で昂進するが、グルタミン酸放出は線条体のみで昂進することを示した。DA神経変性は線条体に限局するので、グルタミン酸放出の昂進はこれと関連する可能性がある。セロトニン神経変性は、両部位において等しく認められるので、グルタミン酸放出の昂進は直接には関連しないと思われる。NMDA受容体拮抗薬は、セロトニン神経変性もDA神経変性と同様に抑制するが、その作用点は今後の検討課題である。 以上の動物実験所見から、覚醒剤精神病の発現にグルタミン酸神経伝達が関与していることが示唆される。
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