研究概要 |
rCBFを指標としてCNVの発生メカニズムを探る目的で、正常男性10名(平均年齢、24±2.5歳)を対象としてCNVとrCBFの同時測定を行い、両者の相関を統計学的に検討した。 CNVは,予告刺激(S1)として80dBのクリック音を両耳に呈示し、次いで命令刺激(S2)としてゴ-グルの赤色LEDの点滅を呈示し、S1-S2間隔は2秒とした。CNVとrCBFの同時記録ではCNVの刺激開始後3分で^<99>mTc-HMPAOを静注し、この静注後4分(rCBFの脳内分布が確立するまでの時間)までCNV誘発のための刺激パラダイムを続け(S2に続く次の刺激パラダイムのS1までの時間間隔は3秒)、次いで静注後約10分でSPECT撮像を行った。CNVは頭皮上脳波記録で12部位から導出し、32回の刺激による加算平均したものを解析した。すなわち初期成分と後期成分に分け、それぞれの振幅や面積を測定した。一方rCBFは絶対値と相対値(大脳半球血流値を100とした%値)を測定した。 結果として右前頭葉のCNVの初期成分の振幅や面積が同側の前頭葉のmiddle frontal gyrus やorbito-frontal cortexのrCBFの相対値と有意な相関を示した。また左中心領および左中心領正中部のCNVの後期成分の振幅や面積が同側の視床のrCBFの相対値と有意な相関を示した。 これらの結果はCNVの発現に前頭葉や視床が関与していることを示唆し、特に後者の視床の関与は過去に動物実験のデータしかなく有意義と思われた。 なお、研究当初の目的は精神分裂病の病態生理を探ることで、今回の正常人におけるデータを対照として精神分裂病患者群のそれと比較研究する予定であったが、時間的に間に合わず現時点では本研究のみにとどまった。
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