対象は、ICD-10にて精神分裂病61名(妄想型8名、破瓜型26名、鑑別不能型14名、残遺型5名、分裂感情障害4名、不明4名)、気分障害10名(双極性7名、その他3名)、神経疾患40名、対照正常者29名で、研究の主旨を充分説明し、書面にて了解の得られた者に面接を行って臨床データを収集した。ドパミン受容体遺伝子のうち、D_2ではコドン311のセリンからシステインへの変異型を検出した。D_3では5´末端の点変異による多型(制限酵素Bal1にて切断)を検出した。D_4は3番目の細胞内ループの48塩基対の繰り返しの数の違いによる多型、トランスポーターは40塩基対の繰り返しの数の違いによる多型を検出した。PCRにて各多型部分を増幅した後、2%のアガロースゲルに検体を電気泳動してエチジウムブロマイド染色し、多型を確認した。その結果、D_2では、ヘテロが7名にみられ、その内訳は、分裂病(破瓜型、遺伝歴有り)2名、気分障害1名、神経疾患3名、対照正常者1名であったが、ホモの者はまだ検出されていない。D_3では、遺伝子型で約17%に変異型がみられ、うち2名(いずれも分裂病、昏迷状態で発症)がホモであった。D_4では、繰り返しが4回のものが最も多く、この他に2回(約25%)のものも見られた。トランスポーターでは、繰り返しが10回が最も多く、この他に9回(約3%)や7回(約1%)のものも見られた。現在までのところこれらの多型と臨床データとの関連を検討中である。
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