研究概要 |
セロトニン(5HT)・レセプターはうつ病において重要な役割を果たしていると考えられている。今までは5HT-1Aおよび2Aレセプターに研究の主眼がおかれていた。ところが最近になって5HT-2Cレセプターが注目されるようになってきた。その理由として5HT-2Cレセプターは5HT-2Aレセプターと同じセカンドメッセンジャーであるイノシトールリン脂質系と連関しているが、5HTに対する親和性は10倍以上である。5HT-1Cレセプターは5HTを髄液に産生している脈絡叢に多く分布していることがあげられる。今回我々はセロトニン2Cレセプターにおける抗うつ薬の影響について培養細胞を用いて研究した。5HT-2CレセプターはCHO細胞に発現させた。5HT,5-HT-2CレセプターのアゴニストであるMcPP、5HT-2Cおよび2AレセプターのアゴニストであるDOIは5HTによる細胞内Caを急激に増加させた。5HTレセプターのアンタゴニストであるmianserin、mesulergine、ritanserin、ketanserinはこの反応を有意に抑制した。抗うつ薬であるamoxapineも5HTによる細胞内Caの増加を完全に抑制し、amitryptyline,nortriptyline,imipramineは約50%減少させた。これらのことは5HT-1Cレセプターがうつ病において何らかの重要な働きをしていると考えた。
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