研究課題/領域番号 |
05670822
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山上 栄 大阪市立大学, 医学部, 教授 (20047004)
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研究分担者 |
横谷 昇 大阪市立大学, 医学部, 助手 (10244641)
撫井 弘二 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20219835)
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キーワード | EIマウス / c-fos / c-Jun / プロトオンコジン / てんかん / 発作 / immunobloting / ベメクリド |
研究概要 |
痙攣履歴を有するEI[s]マウスの放り上げ刺激(以下T)による発作において、脳のc-fosmRNAの発現が、EI[s]、履歴のないEI[ns]および発作非感受性のddYマウスの腹腔内にベメグリド(以下B)を注射し、発作を誘発した場合に比べて延長していることをわれわれは既に報告した。今回は、同じ翻訳産物のFosとJun蛋白質について検討した。EI[s]、EI[ns]およびddY群の脳から2.2M-庶糖溶液を用いて核を調製し、その抽出液をSDS-PAGEで分析した。ゲルをPVDF膜に転移し、FosまたはJun抗体と[^<125>]-ProteinAとを用いてimmunoblotingを行った。反応後に出現したバンドはオートラジオグラフィーによって検出した。Fosの分子両は62kDであった。EI群にTを加え、発作を誘発した場合には、30分後よりFosが発現し、2時間後には最大となったが、その後減少し、48時間後には消失した。EI[s]群にBを注射し、発作を誘発すると、60分後にFosが発現し、24時間後に消失した。EI[ns]とddY群にBを注射すると、30分後よりFosの発現が起こり、EI[ns]では4時間後、ddYでは60分後にFosの発現が消失した。他方、Junの分子量は39kDであった。Tによって誘発されるJunの発現はBによる場合よりも短時間であった。このことは、EIマウスにおいてTにより発作を惹き起すと、FosとJunとの複合体である転写制御因子のAP-1 complexが形成され、プロエンケファリンやその他の標的遺伝子を活性化する可能性を示唆している。その結果、EIマウス脳における異常可塑性が生じ、発作感受性が亢進すると推測される。
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