研究課題/領域番号 |
05670825
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
浅井 昌弘 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 教授 (80051374)
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研究分担者 |
古茶 大樹 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 助手 (50205423)
濱田 秀伯 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 講師 (70101897)
仲村 禎夫 慈雲堂内科病院, 副院長 (10051541)
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キーワード | 記憶障害 / 健忘症候群 / 痴呆 / コルサコフ症候群 / 心因性健忘 |
研究概要 |
今年度は記憶障害を呈する症例の実態調査を引き続き行い、疾患別に記憶障害を分類し、さらにその中から代表的な症例を選び症例集の作成を行っている。 昨年度に引き続き、痴呆に代表される『器質性』記憶障害だけでなく、心因性あるいは精神病性と思われる『機能性』記憶障害も含め、広く包括的に症例を集積している。各症例は、診断(病名)、状態像、現病歴、記憶障害の原因(脳器質性・心因性・精神病性・薬剤因性)、合併する精神症状、心理テスト、画像診断、治療内容、記憶障害の転帰を含み、それぞれの記憶障害の性質を多角的に評価している。とくに精神病理学的側面に重点を置いている。これらの症例については記憶の問題点を中心にできるだけ詳細な記述を行い、その症例集を作成している。今年度に集積した症例の中では、全生活史健忘の症例の観察を通じて、記憶のひとつの側面である『熟知性(familiarity)』について、そして記憶障害の回復過程に観察された一過性の記憶想起過剰(hypermnesia)の現象について考察した。また、空想作話の著しいコルサコフ症候群の症例を通じて、記憶障害と自己同一性について検討した。 これと平行して、記憶障害に関連する病態の文献的検討を行っている。健忘の概念の歴史的変遷を中心に、記憶障害に関連する病態の文献的展望も作成している。記憶に関する上述の症例集と文献的展望を精神病理学的観点を中心としてまとめている。
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