メタンフェタミン(M)に逆耐性が形成されたとき、それ以前と比べMに対する欲求が強まるかどうかを検討する目的でアカゲザルの薬物自己投与実験を行なった。研究は現在進行中である。 オスおよびメスのアカゲザル3頭(体重5.2ないし5.5Kg)の静脈内にカテーテルを植え込み、金属製のアームおよびハーネスで薬物自己投与実験ケージに係留した。ケージ内に設置したレバースイッチを動物が10回押す毎に0.1mg/Kgのコデイン(C)がカテーテルを介して静脈内に自動注入される条件でCの自己投与(摂取)訓練を行なった。毎日の摂取の開始時には実験者がレバーを押してCを2回強制注入し、そのあと動物に自由に摂取させた、動物がCを20回自発摂取するか、あるいは、訓練開始後2時間経過した時点でその日の訓練を終了した。Cでは高い摂取が、また、生理食塩液(S)では低い摂取がみられるまでCとSの摂取訓練を繰り返した。訓練を完了した2頭では、Cを3日間摂取させた翌日に、まずCを2回強制注入するがそのあとはレバーを押しても薬液が注入されない条件で動物のレバー押し回数を観察するテストを行なった。このようにしてCとSを交互に3回ずつテストしたのち、Sのテストの翌日に同様にしてM4mug/Kgをテストした。その結果、強制注入後の1日平均レバー押し回数は1頭(No.1353)ではCが67.3回、Sが3.7回、Mが20回であり、他の1頭(No1359)ではCが75.0回、Sが11.7回、Mが28回であった。CとSの成績に明らかな差がみられたことからこの方法により薬物の欲求を測定できることが確認され、M4mug/KgではC 0.1mg/Kgと比べ軽度な欲求が認められた。今後、Mの低用量をテストしたのちMの反復投与で逆耐性を形成し、次いで、再び同用量のMをテストしてレバー押し回数の増加、すなわち欲求の増加の有無を観察する予定である。
|