研究概要 |
1)PCR法について、陽性であった老年者の脳(ホルマリン固定ブロック)のうち、4例において電子顕微鏡にてウイルスの存在を確かめた。1例で結晶構造を持つ明らかなウイルスが確認された。他の3例は、ウイルス粒子と思われる粒子を核内にわずかに含んでいた。免疫電顕にて確認を行っている。 2)JCウイルスの体内伝搬経路を知るために、血液疾患患者骨髄を用い、PCR法にてウイルス検索を行ったところ、30例中4例が陽性であった。現在陽性細胞を免疫組織化学的に検討中であるが、1例はB細胞由来の白血病(90%以上がB細胞)であり、B細胞に感染しているのではないかと推察している。 3)JCウイルス陽性老年者脳を用い,抗リンパ球抗体と抗パポバウイルス抗体とで二重染色を行った。しかし残念ながらリンパが少なく陽性細胞の同定はできなかった。PML患者の脳を用い、再検討中である。 4)JCウイルスのコントロール部位のプローブを作り、老年者脳のnestedPCRを行った。以前のVP1のプローブで陽性であった例は全て、今回の方法でも陽性であった。腎由来のJCウイルスおよびprogressive multifocal leukoencepharopathy(PML)由来のウイルスとの構造の異同を見るために、コントロール部位のDNAを解析中である。 4)JCウイルスに対する特異抗体をVP1、VP2蛋白を用い作製中である。
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