研究課題/領域番号 |
05670834
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 耕造 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10185267)
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研究分担者 |
庄司 優 東北大学, 医学部, 助手 (10226300)
木村 時久 東北大学, 医学部, 助教授 (00004945)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | バゾプレシン / 微小透析法 / Glutamate / GABA / 出血 / 高張食塩水 / アンジオテンシンII / ニトロプルシド |
研究概要 |
近年、脳内神経伝達物質であるノルアドレナリン(NA)、グルタミン酸(GLU)およびγ-アミノ酪酸(GABA)等のバゾプレシン(AVP)分泌および循環調節に及ぼす作用が明かになってきた。しかし、これらの神経伝達物質が生理的負荷に対してどのように脳内でAVP分泌や血圧の調節に関与するかは未だ不明である。本研究では意識下のラットを用いて浸透圧、血圧および循環血液量の変化時に視床下部室傍核のNA、GLUおよびGABAの各組織濃度をマイクロダイアリシス(MD)法を用いて測定して、その変化と血中AVP濃度および血圧の変化の関係を検討した。 実験1:昇圧および降圧物質抹梢投与の視床下部内NAおよびGABA濃度、血中AVP濃度および血圧に対する作用。アンジオテンシンII(100ng/kg/min)30分間の静脈投与は平均動脈圧(MAP)およびGABA濃度を上昇させたが、NAの代謝産物であるMHPG濃度および血中AVP濃度には変化を認めなかった。他方、ニトロプルシド(NP;10μg/kg/min)30分間の静脈投与はMAPおよびGABA濃度を低下させ、血中AVP濃度は上昇したがMHPG濃度は不変だった。 実験2:高張食塩水(HS)刺激の視床下部内GLUおよびGABA濃度、血中AVP濃度、血圧に対する作用。HS(2.5MNaCl)60分間の静脈投与は血清Na、浸透圧、MAPおよび血中AVPを増加した。GLU濃度は変化しなかったがGABA濃度は有意に減少した。実験3:出血刺激の視床下部内GLUおよびGABA濃度、血中AVP濃度、血圧に対する作用。循環血液量の30%の脱血はMAPおよびGABA濃度を低下させ、血中AVP濃度を上昇したが,GLU濃度は不変だった。 考察 NP、HSおよび出血刺激時に血中AVPが増加した際にGABAの変化が捉えられた事は脳内神経伝達機構を解明する上でMD法が有用である事が示唆された。これらの刺激時にNAおよびGLUは変化しなかったが、GABAの組織濃度が低下した事から血圧低下、浸透圧上昇および出血に伴うAVP分泌調節に脳内GABAが重要な役割を果たしている事が示唆された。
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