研究課題
これまでエレクトロポレーションにより細胞膜を透過性にしたラット脂肪細胞を用いた検討からGluT4のトランスロケーションにG蛋白が関与していることを明らかにしてきた。しかしGluT4は常に細胞内プールと細胞膜の間をリサイクリングしているため、GluT4小胞の細胞内トラフィッキング経路のどのステップにどのようなG蛋白が関与しているのか不明である。そこで平成6年度は、GluT4のエキソサイトーシスとエンドサイトーシスを分離して測定する方法を確立し、それぞれの単方向輸送系におけるG蛋白の関与について検討した。(1)エキソサイトーシスの測定系:主要組織適合抗原(MHC)クラス1由来のペプチドであるD^k-(62-85)はGluT4のエンドサイトーシスをほぼ完全に抑制するため、D^k-(62-85)存在下ではGluT4のエキソサイトーシスのみを測定することが可能である。(2)エンドサイトーシスは細胞表面のGluT4をトリプシン処理することにより生じる35kDaフラグメントを抗GluT4抗体を用いたイムノブロット法により追跡することが可能である。以上の方法を用いた検討の結果、非水解性GTPアナログのGTPγSはGluT4のエキソサイトーシスを促進するとともにエンドサイトーシスを強く抑制すること、またGluT4のエンドサイトーシスはGTPによって促進され、GDPβSにより抑制されることなどが明らかになった。このことからGluT4noエンドサイトーシスにはGTPの水解が必要であるがエキソサイトーシスには必要としないことが示唆された。
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