本研究では、膵島アミロイドの主成分蛋白である膵島アミロイド蛋白(アミリン)遺伝子発現とインスリン非依存型糖尿病の発症ないし進展との関係を解明し、また新しい治療法を開発するために、1)我々が作製したヒト膵島アミロイド蛋白遺伝子を導入したトランスジェニックマウスにおける膵島アミロイド沈着と糖尿病の発症について、2)同遺伝子を導入した培養膵B細胞株を開発し、同遺伝子の発現と細胞機能およびアミロイド沈着について検討を試みる。平成5年度において、ヒト膵島アミロイド蛋白遺伝子を導入したトランスジェニックマウスにおける膵島アミロイド沈着について電子顕微鏡および免疫電顕法により検討した。ヒト膵島アミロイド蛋白からなるアミロイド線維が分泌顆粒中に認められた。しかし細胞外にアミロイド沈着は認められず、また糖負荷試験の結果耐糖能異常を認めなかった。膵島アミロイド沈着と糖尿病の発症について加齢としょ糖負荷および高脂肪食負荷による影響について現在検討中である。またヒト膵島アミロイド蛋白cDNAをトランスフェクション法により培養膵B細胞株に導入し同蛋白発現培養膵B細胞株の作製に成功した。現在インスリン分泌能とアミロイド沈着について検討中である。以上の研究はヒト膵島アミロイド蛋白の発現と膵内分泌機能異常、膵島アミロイド沈着と糖尿病発症あるいは進展との関係を解明し、また膵島アミロイド沈着と糖尿病の増悪因子との関係を解明することが期待できる。
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