研究概要 |
本研究はこれまでに蓄積されてきた副甲状腺ホルモン(PTH)遺伝子の転写調節、二次性副甲状腺機能亢進病態の分子生物学的解析に引き続くプロジェクト(A New Mode for Ca^<++> Regulation.pp.129-143)として、さらに基礎的な転写調節の分子メカニズムを解明し、その知見に基づいた各種カルシウム(Ca)代謝異常病態の解析と臨床応用を目的として計画された。その第1年度においては当初の計画以上の成果が得られており、第1にCaによるPTH遺伝子の抑制的調節に関わると考えられる核内転写因子の候補とも言うべきRedox factor 1(ref-1)のクローニングに成功したことである(内分泌学の進歩VOL.10,pp.102-120、Prog.in Endocrinol.,1992;pp.407-410,ASBMR,1992 発表、投稿中)。いくつかの状況証拠から、ref-1単独ではCaによる転写調節のすべてを説明できないため、何らかの共役因子が想定されたが、初年度の第2の成果はその同定に成功したことである(3rd Internatl Conf on New Action of PTH,京都、1993発表予定、Endocrine Society,76th Annual Meeting 発表予定)。一方、我々は副甲状腺細胞をはじめとした細胞の表面に想定されたカルシウム受容体のクローニングをも平行して進めていたが、残念ながら米国のE.Brownらのグループに先を越されてしまった。この受容体は細胞外のCa濃度の変化に応じて、PTH分泌を調節するキーとなる蛋白で、同じ機構が我々の研究している転写系でも機能していると考えられるため、E.Brownらとの共同研究を行い、本研究計画の第2年度の基本プロジェクトとして進めることとした。
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