研究課題/領域番号 |
05670864
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
天野 和彦 神戸大学, 医学部, 助手 (20231988)
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研究分担者 |
横野 浩一 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (50144580)
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キーワード | 細胞間接着分子 / I型糖尿病 / NODマウス / 発症予防 / 免疫寛容誘導 / NOD / Scidマウス / active suppression |
研究概要 |
抗接着分子ICAM-1・LFA-1抗体投与によるIDDMの予防に成功したが、特に自己免疫性IDDMの予防的展望に重要な初期相での寛容誘導に関して報告する。1.研究方法:抗ICAM-1/LFA-1抗体100μgを14日齢より6日間連続投与した。(1)投与終了後7・28日後の胸腺・脾細胞のT細胞分画、接着分子の発現率の変化・固相化した抗CD3への反応をみた。(2)active suppressionをみるため、照射NODマウスに糖尿病NOD脾細胞と抗体投与後の脾細胞を同時移入し、発症抑制率を検討した。(3)Effector活性検討のため、抗体投与終了後20週のマウス脾細胞をNOD/Scidに移入し発症・ラ島炎をみた。(4)CY糖尿病再誘導のため、抗体投与終了後8・10週にCY投与し、発症率・ラ島炎を調べた。2.研究結果:(1)投与後7日後の脾細胞はCD4、CD8分画に変化はなかったが、胸腺細胞では両分画の減少(P<0.05)とdouble positive細胞増加を認め、また胸腺・脾細胞のICAM-1、LFA-1の蛍光強度の減弱を認めたが28日後には変化を認めなかった。投与7日後の胸腺細胞では抗CD3抗体の増殖反応は低下したが(P<0.005)、脾細胞では認めなかった。(2)接着分子抗体投与によるactive suppression活性は軽度であり、接着分子抗体投与群では、control群に比べ、発症は約10日間遅延するのみで(24.5±12.9vs35.1±13.8日)、全例に発症を見た。(3)NOD/Scidへの細胞移入ではcontrol脾細胞群が移入後28日以内に全例発症したのに対し(6/6)、接着分子抗体投与脾細胞群では、発症は認めず(0/6)、ラ島炎も軽度であった。(4)Suppressor細胞を抑制するCY投与でも、control群で2週間以内の発症に比し(20/24、83.3%)、抗接着分子抗体投与群では発症を認めず(0/44、0%)、ラ島炎も観察されなかった。以上よりeffector細胞の機能低下が示唆された。 3.結論:自己免疫性糖尿病のhigh-risk群の予知が可能となってきた今、感染免疫等の低下もなく、ある種の膵ラ島細胞自己抗原に対するT細胞の寛容誘導による発症の完全な阻止方法は今後非常に重要と考えられた。
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