免疫グロブリンμ鎖膜型エクソンをジーンターゲティングによって欠損させたB6・μMTマウスのヘテロ接合体(B6・μMT/+)をNODマウスに8回back crossし、Bリンパ球欠損NODマウスのヘテロ接合体を作製した。ヘテロ同士を交配させ、雌のwild type (NOD・+/+)、ヘテロ(NOD・μMT/+)、ホモ(NOD・μMT/μMT)をそれぞれ15、34、17頭得た。genotypeは、PCR法およびFlow cytometryによって決定した。3週毎に血糖を測定し、糖尿病の発症の有無を調べた。任意血糖が250mg/dl以上を糖尿病と診断した。全て、Supecific pathogen free (SPF)の環境で飼育した。24週令までの雌の発症率は、+/+は60%(=9/15)、μMT/+は59%(=20/34)であった。それに対しBリンパ球欠損NODマウスであるμMT/μMTは発症しなかった。雄も24週令で+/+が16%(=3/19)、μMT/+が15%(=15%)の発症を認めたのに対し、μMT/μMTは発症しなった。なお、5回のbackcross終了時のヘテロ同士の交配によって得られたBリンパ球欠損マウスの病理組織で膵島炎は認められが、コントロールと比べて膵島炎の程度は軽度であった。以上のことから、Bリンパ球欠損NODマウスでは糖尿病の発症が著明に抑制され、膵島炎の程度は軽減された。Bリンパ球はNODマウスの糖尿病発症に必要と考えられた。 さらに長期観察、病理組織学的検討、Flow cytometryによる浸潤リンパ球のCD4/CD8比の解析、Bリンパ球移入実験による膵島炎と糖尿病発症に関与するBリンパ球のsubpopulationあるいは抗原特異性の検討などを行なう予定である。
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