ラット甲状腺培養細胞株であるFRTL-5cellを^<32>PでラベルしTSHで刺激して二次元電気泳動で解析すると、約24kdのAcidic proteinのリン酸化と分子量約19kdで中性側の2つのspotの脱リン酸化が見いだされた。これらの反応はC-Kinaseの刺激剤であるTPAでは起こらず、adenylate cyclaseの刺激剤であるForskolinによって完全に再現された。すなわち、これらのproteinはA-Kinase系を介する情報伝達系のカスケードに位置し、TSH刺激による甲状腺ホルモン分泌機構に関与していることが推定された。しかもprotein kinaseのみでなくprotein phosphataseもTSHの情報伝達系に深く関与していることを推定させた。 一方、ヒトの甲状腺乳頭腺癌由来の細胞株であるNIMIはIL-1によってその増殖が制御されていることが知られている。NIMIにおいてIL-1_αにより28kdpI約5.5のAcidic proteinがリン酸化され、このスポットはTPAでのみリン酸化されることによりC-Kinase系を介するカスケード上の蛋白質であることが推定された。 次に、FRTL-5におけるリン酸化蛋白のfractionation解析では、両者の蛋白とも膜分画優位に存在し、Triton X 100で可溶化しイオン交換クロマトによる部分精製に成功した。現在、二次元電気泳動で単離しProblot membraneにtransferしてmicrosequencingの段階である。今後、得られたpeptide sequenceのデータベース解析により既知の蛋白かどうかを検討し、未知であればdegenerate primerを作成しcDNA libraryをscreeningする予定である。
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