研究概要 |
骨髄巨核球は最終成熟過程では胞体突起形成し、血管内に血小板を放出すると考えられている。我々は巨核球と血管内皮との接着機構が血小板産生に重要な役割を果たすと推察し、さらに血小板減少状態を察知するセンサーは血管内皮細胞にあり、血管内皮より巨核球の血小板放出を促進する因子が放出される可能性を想定した。本研究では胞体突起形成巨核球と血管内皮との間にどのような接着機構が存在するかを検討するとともに、巨核球にどのような刺激を加えれば胞体突起から血小板が放出されるを明かにすることを目的とした。 平成5年度は実験計画に従い、 1)培養巨核球の胞体突起形成時にIL-6,IL-11を添加し、胞体突起への影響を観察した。 2)骨髄から分離精製した巨核球を血管内皮細胞シーツ上で培養し各種接着因子抗体の存在下での胞体突起を観察した。1)では胞体突起形成時にIL-6,IL-11を添加しても、巨核球の胞体突起形成率の増加は見られなかった。2)では骨髄穿刺液からPercollによる比重遠心法とアルブミン沈降法により巨核球を分離した(純度98%)。ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞を継代し、血管内皮細胞上で巨核球を48時間培養した。血管内皮細胞を各種接触因子抗体(VLAα1-6,LFA-1,ICAM-1,ELAM-1,GMP-140,PECAM-1)で処理後巨核球を培養した。検索した接触因子抗体では、抗ICMA-1,抗PECAM-1抗体処理で巨核球の胞体突起形成率の低下が認められた。巨核球の胞体突起形成には巨核球と血管内皮細胞との細胞接着が重要な役割を果たすと推察された。
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