研究課題/領域番号 |
05670898
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 秀男 東京大学, 医学部(病), 助手 (20197966)
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研究分担者 |
三谷 絹子 東京大学, 医学部(病), 助手 (50251244)
千葉 滋 東京大学, 医学部(病), 助手
間野 博行 東京大学, 医学部(病), 助手 (90240704)
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
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キーワード | ヒトltk遺伝子 / レセプター型チロシンキナーゼ / 細胞内シグナル伝達機構 / ltk蛋白質 / リン酸化蛋白 |
研究概要 |
本研究で我々は正常ヒトltk遺伝子を単離し、その構造を解析した結果、ltk cDNAクローンの一つがレセプター型チロシンキナーゼをコードすることを明らかにした。また、ヒトltk蛋白質の細胞内シグナル伝達機構の解明の手がかりとして、ltk蛋白質の細胞内結合蛋白の探索を行った。今回の実験結果から、以下のことが明かとなった。 1)ヒト胎盤cDNAライブラリーより得られたヒトltk cDNAクローンの一つが、424アミノ酸の細胞外ドメインを有するレセプター型チロシンキナーゼをコードすることを明らかにした。さらに興味深いことに代表的な5つのcDNAクローンの遺伝子構造の解析の結果、alternative splicingによりコーディング領域に違いのある少なくとも3種類以上のmRNAが発現していることが明かとなった。これらのcDNAは、ltk遺伝子産物として、レセプター型チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ部位を欠くレセプター、可溶性のレセプター蛋白が存在することを示唆している。 2)ヒトltk蛋白質は、抗ヒトltkペプチドモノクローナル抗体及び、抗リン酸化チロシン抗体によりCOS-1細胞において分子量100kDaのリン酸化蛋白として検出された。抗ltkモノクローナル抗体で免疫沈降し、Immune complex kinase Assayを行うと、100kDaのltk自己リン酸化蛋白と複数のリン酸化された蛋白が検出された。各特異抗体を用いてウエスタンブロッティングの解析により、これらのcomplexを形成する蛋白には、PLC-γ1、GAP、PI3K(p85サブユニット)、c-rafが含まれることが明らかとなった。 これまでltk蛋白質の細胞内シグナル伝達系の報告は無く、本研究でヒトltk蛋白質の細胞内結合蛋白が明かにされたことはltk蛋白質の細胞内シグナル伝達機構を解明するにあたって意義深い。今後ltk蛋白質の未知のリガンドが同定されることでltk蛋白質の細胞内シグナルが細胞の増殖分化に果たす役割や、リガンド依存的なltk蛋白質の細胞内シグナル伝達機構が解明されることが期待される。
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