【はじめに】近年サイトカインとその受容体を介する情報伝達機構の分子レベルでの解析がさかんに行われており、エリスロポエチン(Epo)細胞内シグナル伝達系においても、Epo刺激により145、130、80-85、40kDa蛋白がチロシンリン酸化され、そのなかにはraf-1、Jak2、Epo受容体が含まれることが明らかにされている。しかし145kDa蛋白と80-85kDa蛋白の同定はいまだなされていない。われわれはEpo受容体を高発現しているUT-7/EpoA細胞株を樹立し、Epo刺激により急速にチロシンリン酸化される145kDa蛋白がPLC-γ1であること、p80-85蛋白はチロシンリン酸化されたのち、PLC-γ1に結合することを明らかにしたので報告する。 【研究結果】UT-7/EpoA細胞にEpo添加後急速に145、130、80、および40kDa蛋白がチロシンリン酸化され、145kDa蛋白は抗PLC-γ1抗体に反応したことからPLC-γ1であることが示唆された。そこで抗PLC-γ1抗体を用いて免疫沈降し、抗リン酸化チロシン抗体でウエスタンブロットを行った。Epo添加により145kDaのPLC-γ1が検出され、PLC-γ1がEpo添加によりチロシンリン酸化されることが証明された。さらにEpo添加郡にのみ80-85kDaと40kDaのチロシンリン酸化蛋白が同時に検出され、これらの蛋白はEpo添加によりチロシンリン酸化されたのちにPLC-γ1に新たに結合することがわかった。80-85kDa蛋白の同定を試みたが、PI3キナーゼ、raf-1、Epo受容体ではなかった。Epo刺激によりPLC-γ1の活性化が認められ、Ins-P_3の産生が増加し、細胞内カルシウム濃度が上昇した。 【考察】イノシトールリン脂質に特異的に作用するPLC-γ1は細胞増殖の細胞内情報伝達に重要で受容体および非受容体チロシンキナーゼによりチロシンリン酸化され、かつ活性化される。Epo細胞内シグナル伝達系においてもPLC-γ1のチロシンリン酸化および活性化がおこることが本研究により明らかになった。80-85kDa蛋白と40kDa蛋白がチロシンリン酸化されたのちにPLC-γ1に新たに結合することが証明された。今後は80-85kDaと40kDa蛋白分子を同定することによりさらに細胞内シグナル伝達系の解明に寄与するものと思われる。
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