研究概要 |
アレルギー炎症の病態において重要な役割を果たしている好酸球の造血幹細胞からの分化に関して、我々は分子レベルでの解析を行っている。本年得られた成果は以下の通りである。 1.好酸球系株化細胞(HL60-C15細胞)及び正常ヒト骨髄細胞を用いて好酸球分化における好酸球顆粒蛋白遺伝子の発現を、ノーザンブロッティング、Run-onアッセイで行った。この際、GATA-1転写因子が同様の発現パターンを示すことを明らかにし、GATA-1が好酸球分化に何らかの役割を果たしていることを示した。(Blood 81:3234,1993) 2.好酸球ペルオキシダーゼ遺伝子の5〓上流域に存在する転写調節領域を、ルシフェラーゼアッセイ及びフットプリンティングにより特定した。(論文投稿中) Charcot-Leyden crystal蛋白遺伝子の転写調節領域を明らかにした(Blood 82:1868,1993)が、その詳細な塩基配列は現在検討中である。 以上、今年度は好酸球特異顆粒遺伝子のプロモーターの解析を中心に行ってきた。今後更に、好酸球特異顆粒遺伝子の1つであるMajpr Basic Protein(MBP)の5〓上流域のプロモーターを検討していく予定である。最終的には、好酸球へ分化を決定する遺伝子を単離してゆきたい。
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