研究概要 |
シトシン残基の脱メチル化は遺伝子発現調節のみならず、クロマチン構造の変化をもたらしDNA結合蛋白との相互関係に影響を及ぼすことからゲノムダイナミクスの一つとして考えられている。一方、近年遺伝子再構成に関与するリコンビナーゼ活性化遺伝子(recombinase activating gene;RAG)がクローニングされ、DNA結合蛋白の側面からのアプローチが可能となった。そこで、メチル化をはじめとするゲノム構造の変化とRAG発現の関係を検討し、造血器腫瘍の細胞特性を規定する遺伝子再構成の機構を解明する目的で以下の検討を行った。 われわれはT細胞受容体beta鎖遺伝子(TCR-beta)の遺伝子再構成とそのメチル化様式が細胞系列特異的で、かつ再構成側のアレルに脱メチル化を認めることをすでに報告している(Cancer Res.1992;52:6598-6602,Cancer Res.1991;51:2917-2921)。そこで造血器腫瘍細胞(急性骨髄性白血病35例、急性リンパ性白血病40例、計75例)においてTCR-beta再構成とメチル化様式をサザンブロット法にてまず検討した。そしてRT-PCR法を用いてRAG-1の発現を比較しメチル化様式との相互作用を検討した。その結果、RAG-1の発現の強弱にかかわらず再構成例では脱メチル化を認めており、再構成においてはDNA側の要因が重要な意義を持つことが示唆された。
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