研究課題/領域番号 |
05670949
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 健二郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (00161555)
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研究分担者 |
平田 恭信 東京大学, 医学部(病), 助手 (70167609)
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 助教授 (60207975)
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キーワード | 腎臓 / ミオシン重鎖アイソフォーム / 細動脈 / mRNA / メサンギウム細胞 |
研究概要 |
ラットにおいて実験的糸球体障害を作製し血管平滑筋ミオシン重鎖アイソフォームの血管系および糸球体細胞における発現を観察した。1.抗thy1抗体腎炎モデル:病初期にメサンギウム細胞にα-アクチンが、ややおくれて非筋型ミオシンであるS Membが発現した。S Membは正常糸球体では上皮細胞にわずかに発現しており、メサンギウム細胞には発現していない。細胞の増殖期を過ぎて糸球体の再構築の時期になるとα-アクチンは消失し、S Membの発現は持続した。細動脈平滑筋における筋型ミオシンSM2の発現には変化が見られなかった。S Membの糸球体での発現増強は、単離糸球体でのノーザン分析でも確認された。2.腎亜全摘モデル:術後16週ではSM2ミオシンの発現が輸入細動脈において低下する傾向にあった。S Membは術後4週でメサンギウム細胞に発現し、8週以降はメサンギウム細胞での発現は低下し、上皮細胞での発現が増強した。α-アクチンの糸球体細胞での発現は見られなかった。3.抗糸球体基底膜抗体腎炎:血管系のSM2やαアクチンの発現に変化は見られなかったが,メサンギウム細胞にS Membの発現が観察された。α-アクチンは糸球体細胞に発現していなかった。4.ストレプトゾトシン糖尿病ラット:糖尿病作製4週後の腎の酵素抗体法ではSM2の発現が動脈および細動脈で低下する傾向にあった。またメサンギウム細胞にS Membが発現していた。α-アクチンは糸球体に発現していなかった。5.高血圧自然発症ラット:加齢とともに動脈および細動脈においてSM2の発現か低下することが観察された。食塩を負荷して悪性高血圧を作製すると、血管系でのSM2とα-アクチンの発現が低下し、メサンギウム細胞にわずかではあるがα-アクチンが発現した。以上、各種の糸球体障害では糸球体細胞の形質変換が時間的、空間的多様性をもって起こることがS Membとα-アクチンの発現を検討することにより示された。また、高血圧をふくむ血管障害の鋭敏な指標としてSM2が有用であることが示された。
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