研究概要 |
1.単クローン抗体1-22-3投与による実験腎炎において、コラーゲン合成系、同分解系(MMP-2,9)およびその制御系(TIMP-1)のmRNA発現を検討した結果、それらはすべて亢進していた。しかし、糸球体硬化がみられる場合には、分解系の活性が相対的に低下していた。このことは、糸球体硬化には、コラーゲン産生・分解機構のアンバランスが重要であることを示している。 2.上皮細胞障害と基底膜障害との関連については不明の点が多いが、糸球体上皮細胞の中に当教室が確立した脂肪酸結合蛋白に対する抗体と反応する分子量110Kdの新しい蛋白を見出した。今後、この蛋白と上皮細胞障害との関連が注目される。 3.菲薄基底膜症候群の病因遺伝子を同定するために、IV型コラーゲンα3,α4鎖遺伝子の連鎖解析を行ったが、連鎖はみられなかった。従って、菲薄基膜症候群は、IV型コラーゲン遺伝子の異常が病因ではないと考えられた。
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