研究課題/領域番号 |
05670950
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
荒川 正昭 新潟大学, 医学部, 教授 (80069012)
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研究分担者 |
西 慎一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70251808)
中川 洋一 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (80211415)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | アルポート症候群 / 菲薄基底膜病 / IV型コラーゲン / 遺伝子欠失 / 転写因子 / NF-kB / AP-1 / NO |
研究概要 |
1.腎糸球体基底膜障害とIV型コラーゲン遺伝子変異について 基底膜障害を主病変とする遺伝性腎炎には、アルポート症候群と菲薄基底膜病がある。アルポート症候群は、IV型コラーゲンα鎖遺伝子の異常による遺伝性進行性腎炎であることが明らかにされたが、その多彩な臨床症状と遺伝子異常の関連性をはじめとして、未だ不明な点も多い。α5鎖遺伝子のみならず、α6鎖遺伝子まで含めた欠失が存在するアルポート症候群患者では、食道平滑筋腫を合併することが報告されている。昨年度までに、私達は、精神発育遅延を合併したアルポート症候群患者の家系のIV型コラーゲン遺伝子の解析を行い、α5からα6鎖遺伝子に及ぶ欠失が存在し、かつ、α5鎖遺伝子は、完全欠失である可能性が高いことを明らかにした。さらに本年度、PCRを用いて欠失範囲を検索した結果、α6鎖遺伝子も完全質している可能性が高いことを見いだした。以上から、α6鎖遺伝子欠失が、どのように食道平滑筋腫合併に関与しているのか、そのメカニズムは不明であるが、本来とは異なった機能を持つに至った、トランキエ-トしたコラーゲン蛋白の発現が、食道平滑筋腫合併に関与している可能性が考えられた。 2.ラット糸球体腎炎と基底膜障害の関連 抗Thy1.1腎炎においては、メサンギウム融解が起こった後に増殖性の糸球体腎炎が起こる。また、抗Thy1.1抗体を2回投与すると、進行性の糸球体硬化性変化が生じる。この過程において、様々なサイトカインや成長因子が関与していることは知られているが、それらのサイトカインなどの発現を調節している因子については、現在までデータがほとんどなかった。本年度私たちは、この実験モデルにおいて、NF-kBやAP-1などの転写因子がメサンギウム増殖に一致して糸球体局所で、活性化を受けていることを報告した。また、この腎炎で、基底膜障害を含む組織障害に深く関わっていると考えられるNOの産生を司るNO合成酵素の発現を、単離糸球体で証明した。
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