研究課題/領域番号 |
05670958
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
浅野 泰 自治医科大学, 医学部, 教授 (00050500)
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研究分担者 |
古谷 裕章 自治医科大学, 医学部, 助手 (40240981)
田部井 薫 自治医科大学, 医学部, 講師 (90155234)
草野 英二 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50102249)
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キーワード | 急性腎不全 / 髄質部集合尿細管 / メサンギウム細胞 / super oxide / 細胞内Ca / 細胞内pH |
研究概要 |
慢性血液投透析者の増加は、社会的、経済的に大きな問題であり、腎障害の細胞レベルの機序を明らかにすることは、現在最も急務の検討項目と考えられる。我々は昨年度には、ラット髄質部集合尿細管培養細胞を用いてsuper oxideによる細胞障害発生機序や、シアン化カリウムによる虚血性モデルを作成し、細胞虚血と細胞内カルシウム(Ca)、細胞内pHと細胞生存率の関係について検討してきた。その結果、super oxideによる細胞障害に細胞内Caの上昇が関与し、細胞内Caの増加が細胞生存率を低下させることを明らかにした。また、虚血モデルでは、従来の報告のように、虚血により細胞内pHは酸性に傾き、細胞内Caが低下することを確認した。と同時に、培養液をアルカリ性にして細胞内pHの酸性化を抑制すると細胞内Caが上昇し、細胞生存率が低下し、逆に細胞内が酸性に傾くほど細胞の生存率が改善することを明かにした。従来細胞内pHの酸性化が細胞死につながるとの仮説が信じられていたが、今回の我々の検討では、逆に細胞内pHが酸性化されることが細胞生存を改善することが明かとなった。本年度は、メサンギウム細胞を継代培養し、3代以降の細胞を用いた。super oxideの発生はhypoxanthine-xanthine oxidaseを用い、細胞生存率を10mM propidium iodideの螢光比色法を用いて測定した。その結果、hypoxanthine-xanthine oxidaseを投与するとメサンギウム細胞でも細胞生存率が濃度依存性に低下した。そこで培養液のpHを7.0と酸性に傾けるとhypoxanthine-xanthine oxidaseによる細胞障害は著明に抑制された。今後、細胞内Ca、細胞内pHの測定を並行して行う予定である。
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